その白を染めて

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中へと連れてこられたあたしは、3人がけのソファに木村くんと並んで座らされ、何の話をされるのかとビクビクと怯えていた。 誰かに聞かれたらまずい話なのだろうか。 そんな重苦しい空気の中、やっと木村くんが口を開く。 「まず、何で朝勝手に帰った?てか、これ何?ふざけてんの?」 ぱさっ、とテーブルの上に置かれた一万円札が2枚。 これはあれだ、あたしが今朝置いて行ったお札ちゃんたちだ。 「えっと、ふざけてはないんだけど。ごめん、足りなかったとか…?」 分からない。木村くんが不機嫌な理由も、ここにこうして呼ばれた理由も、恋愛経験の乏しいあたしには皆目見当もつかなかった。 「はあっ、、。野々原って馬鹿なのな。」 「はい…。おっしゃる通りです…。」 途端にしゅんっとなってしまったあたしは、チラッと俯き加減に木村くんの様子を窺うことしかできない。 「まず、これはいらないから財布にしまって。」 ピッとお札を指さして、木村くんがあたしにはやくしまえと指示を出す。 言いたいことはあるけれど、今は黙って言うことを聞くべきだと判断したあたしは、おずおずとお札を手に取り財布へとそれをしまった。 「次に、俺やり捨てされたの初めてだったんだけど。それについて、なんか言うことないの。」 ジロッとあたしに視線を向けつつ、不貞腐れた表情で木村くんが言う。
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