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「…ふぅん。聞いたところでやっぱよく分かんねえけど、俺のことが本当に好きなんだってのは何となく、今の野々原の顔見たら分かったわ。」
「えっ!もしかして、今まで伝えてきたあたしの気持ちって、あんまり伝わってなかったとか…?」
ま、まさか、そんなわけ…
「まあ、これといって実感?とかはしてなかったかも。どうせ顔が好きとか。そういうミーハー的な好意に近いと思ってたし。俺のこと好きって言ってくるやつって大抵そうだったから。」
「勿論、見た目も大好きだけどっ…!!!」
どうやら、今まで全力で伝えてきていたはずの木村くんへの気持ちは、しっかりと伝わってはいなかったようだ。
なんてこと。あたしの思いがまさかミーハー的好意だと思われていたなんて…、泣ける。
そんな気持ちで何年も好きでいませんからね。
あたしはそのやるせ無い気持ちごと、バタッとテーブルに突っ伏した。
うううっ、と泣き真似(半泣き)をするあたしを見た木村くんは「うわ、まじへこみじゃん。」とあっさりとした声で反応した。
ええ、分かってますとも…。
木村くんがあたしのことをただの同期としてしか見てないってことくらい…!!
「いいよいいよっ、どうせあたしは誰にも愛されない星のもとに生まれた女ですから…。」
思い返せばあたしの恋愛って、ことごとく好きになった人とは結ばれないものばかりだった。
傷の舐め合いのような形で同じような思いをしている人と、何となく寄り添うように付き合ってみたこともあったけど、あたしに向けられる感情はやはり同情の域を抜け出さないものばかり。
かく言うあたしも返せた気持ちなんて同じようなものだった。
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