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レジへ着いた頃には既に会計を済ませた木村くんの姿があって、間に合わなかった!と内心項垂れる。
「うわっ、ごめん、いくらだった?あとでちゃんと請求して。」
「いいよ、このくらい。」
申し訳ないと謝るあたしに、このくらいなんて事ないと木村くんが言う。そのままあたしの腰にスッと触れて「行こう。」と歩き出した。
その手は直ぐに離れていってしまったけど、あたしはその微かな感触を暫く引きずっていた。
好きな人に触れてもらえるなんて、あたしとっては一大事件だ。
木村くんとやってきたのはチープなラブホテル。
シャワーを浴び終えたあたしは、木村くんが戻ってくるのをベッドの縁にちょこんと座って待っていた。
やばいやばいやばい。本当にやばい。
お酒が入っていてまだ助かったけど、シラフだったらとてもじゃないけど正気を保っていられなかったと思う。
それほど心情はとんでもないことになっている。
ムダ毛はきっと大丈夫。でもこの日頃の怠慢が現れているボディはどうにもならない。
プニプニと二の腕の肉を摘んでみては、はあっ、と盛大にため息を漏らした。
こんなことなら、ダイエットしておくんだった!!
後悔先に立たず。
この言葉の重みを今になって実感している。
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