第六章 【白頭山】

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第六章 【白頭山】

ヴィリュチンスク軍港を無事に出航した通常動力877型潜水艦(NATOコードネームはキロ型)内では金艦長が乗組員に対して訓令を行っていた。 「当艦はこれよりプロリフ・クルゼンシュテルナ海峡とラ・ペルーズ海峡(宗谷海峡)を通過して日本海に向かう」 「当艦は、本日正式にロシア海軍から我が国に引き渡された」 「将軍様より『白頭山』の艦名を頂いた」 「今より本艦は朝鮮民主主義人民共和国海軍潜水艦『白頭山』である」 艦内で「白頭山万歳」「将軍様万歳」と歓声が上がった。 「艦長、我々はソコロフ艦長の【オークン】の囮役になるのでしょうか?」 崔副長が金艦長に質問した。 「原子力潜水艦の【オークン】と通常動力潜水艦の【白頭山】では速力も運用方法も異なるので別行動となるが、われらが囮役となれるなら、それはそれで祖国の為になるが、無事に本国に【白頭山】 を持ち帰ることが最重要だ」 「そろそろ潜航をするか」 「崔副長、潜望鏡深度まで潜航せよ」 崔副長は艦内インターカムのマイクを握って潜航を艦内に指令した。 「電動機動力に切り替え」 「バラスト注水」 「潜航」 【白頭山】は潜望鏡深度まで海面下に潜航していった。
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