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わたしたちの愛はニセモノだったんだね。
美香ちゃん、昨日はありがとう!!
動物園楽しかったな!
そんなLINEが私の元に送られてきて。
すぐにそのメッセージは取り消されたけれど
分かってしまった。
美香ちゃんという女性こそが
あなたとホンモノの愛を育んでいるのだと。
返信の遅いLINEも。
あなたの素っ気ない態度も。
寝室に落ちていた髪の毛も。
嬉しそうに画面を見つめるあなたの横顔も。
全部美香がいたから。
あなたの世界にはわたしなんていなかった。
あなたの彼女はわたしのはずなのに。
涙が床を濡らしていく。
いっそのこと涙の海となって
溺れてしまえれば良かったのに。
人魚姫みたいに海の泡となって消えてしまえば
良かったのに。
幸せそうな2人を見ながらわたしは消えていくんだ。
わたし達別れよう。
言葉に出して言うと、胸がズキンと傷んだ。
あなたはどうして?と理由も聞かずに
スマホを見ながら頷く。
ちょうど良かった。俺好きな人いるからって。
いつから、わたしたちの愛はニセモノに
変わってしまったのだろう。
そんなことを考えてももう遅いけれど。
涙を流しながら、あなたの頰を叩いた。
わたしを裏切ったんだから、それぐらい許して。
これで最後なんだから。
あなたはこれからあの子とホンモノの愛を
築いていく。
わたしは苦しみの中に残されたまま。
そんなある日、わたしは彼に出会ったの。
彼といるとその悲しみを
忘れてしまうぐらい楽しくて。
いつしか彼に惹かれていった。
あなたのことが好きです。
同じ気持ちだって分かって涙が出るほど嬉しかった。
付き合い始めたときは
この愛がニセモノなんじゃないかって
不安だった。
けれど不安になる度、彼はわたしを
優しく抱きしめてわたしの不安をかき消してくれた。
ああ、この人がきっとわたしの運命の人なのね。
わたし達は恋人繋ぎで笑い合いながら夜の街を歩く。
あなたとの愛はニセモノだったけれど、
わたし達の愛はニセモノじゃない。
お互いを思いやるホンモノの愛。
あなたが笑うたび嬉しくて。
わたしが笑うとあなたも笑ってくれる。
愛しさが心の中の花を満開にさせるの。
きっと、このためにわたしとあなたは
出会ったのね。
わたしをホンモノの愛に引き合わせるために。
愛してる。
その言葉に彼は幸せそうに微笑んだ。
そしてわたしに優しいキスを落とす。
シンデレラのようにわたしを
幸せな女の子に変身させてくれてありがとう。
わたしの魔法使いさん。
(終わり)
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