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リオは、目の前に広がる未来の流れを見つめながら、
不安そうにシュンを見つめた。
時間軸を操る能力を持っていても、彼女の心には大きな迷いがあった。
見えた未来には、確実に起こるであろう大きな問題があった。
しかし、その問題をどう回避すれば良いのか、何も決められない自分がいた。
「シュン、お願い、少しだけ力を貸してほしいんだ。」
リオは少し照れくさそうに言うと、すぐに目をそらす。
彼女がこうして誰かに頼るのは珍しいことだった。
しかし、この問題に関しては、
どうしても一人では解決できそうにないと感じていた。
シュンは冷静な目でリオを見つめ、じっと彼女の言葉を待った。
どんな悩みでも、彼は落ち着いて受け止める。
時間軸を操る神として、どんな状況でも過去や未来を
調整することができるが、感情にはあまり流されない。
「未来に大きな問題が起きる予兆があるんだけど…」
リオは言葉を続けた。
「どうしても、どう回避すればいいのか、決められなくて…」
シュンは一度、無言でリオを見守り、ゆっくりと頷いた。
彼女が不安を抱えていることを感じ取り、
言葉ではなく、ただその不安を受け入れるように。
「リオ、君が悩んでいるのは分かる。
でも、君ならきっと答えを見つけられるはずだ。」
シュンは言葉を選びながら、静かに続ける。
「俺も一緒にいるから、君が動きやすいようにサポートする。」
リオはその言葉に、少し驚いたようにシュンを見つめた。
しかし、すぐにその目は落ち着き、少しだけ安心した表情に変わった。
彼の冷静さが、どこか自分を落ち着かせてくれる。
リオは深呼吸をして、心を落ち着けながらシュンに頷いた。
「ありがとう、シュン。」
リオはやわらかく微笑んだ。
その微笑みに、確かに彼女の不安が薄れていくのを感じた。
「君がそう言ってくれるなら、少し安心できるよ。じゃあ、行動に移すね。」
リオは目を閉じ、ゆっくりと時間を操る力を使い始めた。
周りの空間が静止し、時間がほんの一瞬、止まったように感じる。
彼女の周りに広がるのは、
ただ一つの選択肢—隠された真実を明らかにすることだ。
だが、それには危険が伴う。
誰もが気づかぬように進行していた出来事が、突然姿を現す。
「これで、もう何も隠せなくなった。」
リオは、時間を慎重に調整しながら呟いた。
隠された真実が次々と浮かび上がる瞬間が、まさに目の前に迫っている。
周囲の空気が張り詰める中、リオの決意は固まっていた。
彼女の心の中で、その人物の隠していた事実が、
今まさにすべて明らかになる瞬間を感じ取った。
「すべて明らかになるよ。」
リオは静かに言うと、時間を再び動かし始めた。
その瞬間、隠されていた事実がまるで弾けるように広がり、
周囲の人々がそれに気づく。
リオは自分が動いたことで、世界が少しずつ変わり始めるのを感じていた。
しかし、彼女の心は不安ではなく、むしろ安心感に包まれていた。
シュンは、リオが時間を調整している間、静かにその背後に立っていた。
彼女の動きに合わせてサポートし、
どんな変化にも対応できるように準備をしている。
その安心した気配が、リオにとって何よりも頼りになるものだった。
「これで、大丈夫だ。」
リオは慎重に動きながらも、シュンのサポートを感じて安心しきっていた。
彼の存在が、今の自分に必要不可欠だということが、
自然に心に染み込んでいった。
でも、もう二つ。
この安心感はシュンがこの二つの問題を思い出した事により、
長くは続かなかった。
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