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「なぁ風太、お前、もうサッカーやらないの?」
これまで幾度となく雷太に言われ続けてきた言葉。
「もう、今更だよ。一緒にプレイしたって、兄ちゃんとはもう天と地の差なんだから……。」
「うーん、そうかな? 俺は普通に風太と同じチームでやりたいけどな。だからお前と同じ高校にいるんだし。クラブチームのスカウトも蹴って、インターハイ優勝を目指してるんだし。」
雷斗は、風太と一緒にサッカーがしたい、ただそれだけなのだ。
幼い頃と同じように、ただサッカーを楽しみ、パスを交換する楽しさ、ゴールを決める喜びを分かち合いたかったのだ。
「もう、何年もサッカーしてないし……。兄ちゃんと双子ってことは、出来るだけ隠しておきたい。兄ちゃんが恥かいちゃうからさ。」
兄が脚光を浴びれば浴びるほど、弟には陰が差していく。
同じ高校に通っているのに、兄は目立ち弟はまるで空気の様な存在になってしまっていた。
あの時までは……。
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