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沸き起こる歓声。
次々と光る、カメラのフラッシュ。
その中心にはいつも、兄がいた。
「U-20日本代表のエースとして、何か意気込みは?」
アナウンサーのマイクが、兄に向けられる。
「意気込み……というか、僕を応援してくれるたくさんのサポーターの皆さんの応援を無駄にしないために、僕は自分の出来ることを全力でやるだけです。それが結果に繋がる、そう信じています。あと、俺と切磋琢磨してくれた練習相手がいるから、ここまでこれた。彼には感謝してます。」
まるでドラマの台本の様なインタビュー。
鳴りやまない黄色い声。
弟にとって、兄はスーパースターだった。
同じ日に生まれた、双子の兄弟。
兄はサッカーを諦めることなく続け、各世代別の代表にまで上り詰めた。
一方の弟は、小学生でサッカーを諦め、今は帰宅部。
家でゲームばかりやっている。
ここまで二人の明暗を分けた理由、それはただ単に『性格』の一言であった。
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