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「勝ち進んだのですか? 地区予選大会を」
「はい。決勝まで勝ち進みました」
「それは素晴らしいですね」
「ありがとうございます。決勝は惨敗でした。杉原さんは陸上部で
は何をしましたか?」
「競走をやりました。短距離走とか、中距離走とかでした」
「大会で勝ったのですか?」
「一応、全国高校総体には出場しました。でも負けました。惨敗でした。勝つことが出来ませんでした。俺より走るのが速い人は、たくさんいました」
「それはすごい。全国高校総体なんて」
「最下位でした」
「それでも大会に、出たのでしょう。すごい。格好良い」
「全然、格好良くないです。スタート直後に倒れました」
「スタート直後に倒れたのですか。どうしてですか?」
カズは不思議だと思ったらしかった。
「俺もいまだによく分からないのです。何故、倒れたのかな。何か
につまずいたか、何かでしょう」
俺は本当に分からなかった。高校総体の一五〇〇メートルのスタートの時に、俺は足を踏まれた記憶があった。でも、俺はその話はしなかった。
「その時、どこか、ケガしませんでしたか?」
カズに真顔で聞かれた。
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