うれし涙

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「ううん。組んでも良いけれど、まともなドラムの演奏を最後にしたの、かなり前だから、リハビリが必要だと思うけれど。まあ良いかな。でも、あまり自信がないけれど、杉原さんがどう思うかな。杉原さんは、僕たちと、バンド組みたいですか?」  俺は面白そうだと思った。でもバンドを組む、と言われても俺は ロックバンドというものを、一度もやったことがない。  俺は働いている出版社の編集部がある部屋の掃除をした。俺が気 が付くと部屋の中を、埃が舞っていた。その埃を見ていたら、床の 方から上昇して机の上のノートパソコンの上に、飛んで行った。そ の埃はさらに上昇して、ノートパソコンの後に飛んで行き、見えな くなった。俺は以前、カズと話した時に「埃に意思があるのかな?」 という話を、カズが出版社に就職する前に、カズに向かって言った 友達がいた、ということを、カズが話したことを思い出した。その時、俺はカズがとの会話の内容の意味がほんの少しだけというか、なんとなく分かった気がした。
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