うれし涙

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「ボーカルがいる方が良いのかな?」  編集長が、スネアドラムを叩きながら、そう言って笑った。 「編集長が歌えば良いと思います」  カズが笑ってベースで、短い音を出した。俺達はYMOの「ライ ディーン」という曲を三人で演奏した。 「この曲、シーケンサーが必要じゃないの?」  編集長が笑いながら言った。俺も笑ってしまった。当たり前だ。 YMO本人たちがスタジオでレコーディングした時も、ライブ演奏した時も、シーケンサーという自動演奏をする機材などを使って、演奏していた曲だった。そんな曲を生演奏だけで、その音源の再現をすることが出来る訳がない。俺はワークステーション・シンセサイザーをいじってYMO本人たちが、演奏した時の音色を真似てみた。  そして、俺はスタジオに置いてあるワークステーション・シンセサイザーを使って演奏してみた。しかし、なかなか上手くいかなかった。  俺は一人で入浴中に思った。高校を卒業すると、俺は恋人と同じ大学に進学した。そして恋人と一緒に陸上部に入った。しかし、浅草お笑い芸人風の妙な陸上部監督の、ノリに俺はバランスを崩してしまった。
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