うれし涙

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「そんなこと言うことないだろ。ハラスメントだ」  俺の恋人が、恥ずかしそうな顔になった。 「オリンピックの八〇〇メートル走のメダルが、確実なのだから良いだろ。あなた、運が付いて」  俺は笑っていた。 「杉原、君は何故この大会に出ないの? 何故オリンピックに出ないの?」  俺の恋人は本気で、そう言っているようだった。 「無理だよ。ちゃんと練習してないから。完走は出来るけれど。今は仕事ならしているけれど、大会に出るほど走っていないからね」  俺は笑っていた。俺たちは客席に座って、二人で話していた。 「ウンコのついたパンツはどうした」  俺は失笑した。 「捨てて来た。ゴミ箱に」  俺の恋人は平気な顔。 「そういうことして良いのか」  俺は笑った。 「良いのだよ」  俺の恋人が笑ってごまかそうとしたようだ。 「いけないんだぞ」 「本大会が楽しみだな」  俺はそう言って、再び俺は恋人と二人でオリンピック本大会出場 を喜んだ。 「臭うよ」  俺の恋人は、全然臭わないのに俺は言った。 「シャワーで洗ったはずだけれど」  俺の恋人は下を向いた。
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