あたしは偽る

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現在、高校1年生になり、バンドを組んだ隼人君のために歌を作るのはあたし。 今も姉は曲を作らないし、作れない。 そう、あたしは姉のゴーストだ。 いつだって、あたしの欲しいものを姉は何でもないような顔で、手に入れるんだ。 それに、あたしのものが羨ましくなったら、簡単に奪ってくる。 親や先生に褒められるのも、好きな人でさえも。歌だって、そう。 あたしの存在なんて、姉なんかに比べたら価値なんてないんだ。 でも、これ以上は、負けたくない。隼人君は、絶対に梨花から奪い返す。 だから、あたしは愛されるために真鈴から、全て持ってる完璧な梨花になりきるんだ。 見た目や話し方、仕草など全部、梨花に。 これから梨花になるあたしは、本物の梨花から全てを奪ってみせよう。 濡れている窓をふと見つめる。 あたしが泣いてるように見える。 梨花に全て奪われたあたしが悲しげに映ってる。 まるで真鈴だったあたしを消し去るような雨。 梨花になりきるあたしを祝福してるとさえ感じる。静かに降り注ぐ雨だった。
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