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ネジムの姿は小さくなって神殿の中に消えていった。
レイラは慌ててネジムの後を追いかけた。
「どこに行ったんだろう?」
レイラとネジムがバステト神殿の中に入った後、ムクターとマブルーカが神殿の敷地内に着いた。
「レイラ! ネジム!」
ムクターとマブルーカは大きな声で二人を呼んだ。
「いったいどこに行ったんだ」
その時マブルーカが、ネジムを入れていたレイラの小さな籠を神殿の入り口付近で見つけた。
「あなた、これが!」
「レイラの籠だ」
「神殿の中に入って行ったのよ」
「ぼく達も行こう!」
「はい!」
二人は血相変えてレイラの後を追い、神殿の中に入って行った。
一方、ネジムを追って神殿の奥まで来たレイラは、道に迷ってしまい出口すらわからなくなっていた。
「ネジム! ネジム!」
レイラは大きな声で何度も呼んだが声は巨大な建物の中に吸い込まれてしまう。
(ネジム何処に行ってしまったの)
仕方なくレイラは石の長い廊下を、感をたよりに歩き続けた。
(火がないのに廊下が明るいのはなぜ?)
廊下に光が差し込んでいた。それは外の光を、鏡を使った高度な建築技術で神殿の奥の奥まで導いていたからだ。
(壁という壁にバステト神のレリーフが描かれているわ。どのバステト神も美しく威厳に満ちている)
レイラが歩き続けているうちに背丈の4倍はありそうな大きな扉の前に突き当たった。
「ここはなんの部屋かしら」
レイラが恐る恐るその扉を押し開くと、
「あっ!」
目の前にお座りのポーズをした、高さが20メートルはありそうな、巨大なバステト神の威厳に満ちた黄金の像が現れた。
「バステト神様」
レイラが迷い込んだところは、高位の神官しか入れない、神殿の中で最も神聖な礼拝堂だった。
「にゃー、にゃー」
「ネジム!」
レイラは巨大なバステト神の足元に、ネジムの姿を見つけた。
ネジムは黄金の石像に、必死に登ろうとしている。
「ネジム!」
レイラは喜び、ネジムのところに走ったが、ネジムはレイラのことなど気にも留めず、ひたすら巨大なバステト神の足に飛びつき、上のほうへよじ登ろうとした。
「ネジム」
レイラはネジムをスッと抱きかかえた。
「心配してたのよ」
レイラはネジムを落ち着かせようとしたが、彼は石像の上の方が気になるらしく、レイラの腕の中で抗った。
「にゃー、にゃー」
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