長男、衝撃の告白

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長男、衝撃の告白

ある日のリビング。 「今日みんなに集まってもらったのは他でもない」 長男のビーが、突然口を開いた。 黒髪に金色の瞳を持ち、色のない白い肌のビジュアル系美人だ。 「いや、全く分からないのだけど」 次男のコチョウ兄さんがすかさず答える。 サーモンピンクの髪に紫の瞳を持つ妖艶な美人。 「他もなにも知らねーよ」 と、三男のセイガ兄さん。 コチョウ兄さんに顔立ちは似ているのだが、顔付きがマジヤンキー。白髪に紫の瞳を持つ。 「で、なに?」 四男で末っ子の俺、イト。 美人兄弟の中での茶髪茶眼な平凡男子。 「うわーん。おにーちゃんの話聞いてくれるのはもうイトだけだぁ~っ!」 「気持ち(わり)ぃ。とっとと話せ」 セイガ兄さんが機嫌悪そうに告げる。 「うぐっ、その、だな」 「なぁに?もうすぐ出勤時間なのだけど」 コチョウ兄さんが告げる。確かにコチョウ兄さんの仕事は夜からだしなぁ。 「分かった分かった!単刀直入に言おう!」 何だろう。食事のメニューのことか?それとも別の……? 「お兄ちゃんは……イトにタマゴを産み付けたいっ!!」 ……何言ってんだこの長兄は。 人間は胎生だぞ。 「変態いぃぃっ!!!」 次の瞬間コチョウ兄さんが立ち上がり、ビー兄さんの頬を思いっきりぶった。 こっえぇぇっ!!!この家で一番恐いのは、拷問オタクのセイガ兄さんでもなければ長男の変態確定ビー兄さんでもない。ゆったり艶やか美人のコチョウ兄さんである。 「ゆ、許してくれっ!コチョウ!だけどお兄ちゃんは…お兄ちゃんはイトを抱きたいぃぃっ!」 あ、これ変態だわ、マジで。いや、兄弟ものBLには別に抵抗ないけど。 俺たち兄弟は血が繋がっていない。幼い頃、ビー兄さんに導かれるようにして兄弟となった。そして今まで一緒に育ってきた。ただ、それだけだ。 だから別に俺とビー兄さんが子作りすることは可能である。 「でも、イトは蜘蛛でしょ!?」 コチョウ兄さんの言葉に、驚いた。 「は、蜘蛛?」 それって、都市伝説の…? 「今まで言ってなくてすまん。兄さんはな」 ビー兄さんが静かに口を開く。 「実はお兄ちゃんは、蜂と言うバース性なんだ。そしてコチョウは蝶。コチョウには伝えてあった。仕事柄な」 コチョウ兄さんは、お店で客をとるから。蝶ならば、万が一蜘蛛とあたっては大変だ。 「そしてセイガは蛾、イトは蜘蛛」 「はいーっ!?」 マジで!?俺たち兄弟全員バタフライバース! バタフライバース兄弟っ! 「俺、セイガ兄さんの毒で死んじゃう?」 俺が蜘蛛ならば、そうなる。 「お前は特殊体質だから、毒で死なないだろ」 と、セイガ兄さん。 「いやまぁそうだけど」 俺は蜘蛛だ。そうなのだ……。その事実を知らされ、自分の本能の中でされを認識する。でも毒の効かない体質……?どうしてこんな体質なのか?それは……蜘蛛の糸に絡みとられるように思い出せない。 「でも、蛾の毒は効くかも」 「効かねぇ」 「何でそれが言えるの?」 「そ、れは」 セイガ兄さん、何か隠してる? 「ともかく、兄ちゃんは蜂だ」 ビー兄さんが仕切り直す。 「だから……イトたんにタマゴ産み付けたいっ!!」 いや、たんってなんだ。イト【たん】って!! 「くたばれゴルラァッ!!」 「ぐへぁぅ!!」 ビー兄さんがコチョウ兄さんにヘッドロックをキメられて、――――――気絶した。 ビー兄さんもお店があるから出勤のはずだけど……どうすればいいんだ。この修羅場。 「ビー兄の職場には連絡入れとく。俺は今日夜番なんだ」 「私もそろそろ行かなきゃっ!」 セイガ兄さんとコチョウ兄さんがパタパタと出掛ける準備をして出発し……俺は気絶したビー兄さんと家に残されることとなった。 ――――――バタフライバース、か。 半ば都市伝説のように語られてきたそれは、4つのバース性が複雑に絡み合う。 バースはそれぞれ…… 蝶 蛾 蜘蛛 蜂 稀少さをRPGで例えれば…… 蝶:その辺のおっさんからもらえる剣 蛾:普通にショップで手に入る剣 蜘蛛:ダンジョン探索で手に入る剣 蜂:ダンジョン踏破の末、称号30個くらいコンプの上アイテム集めてようやっと運営からもらえる剣 ――――――で、分かったかな? 分からなかった場合は、剣をち○ぽに変換してみよう。きっと心身に染み渡るはずだ。 そして各バースについてだが、 蝶は見目麗しく、人々からとても愛される場合が多い。 コチョウ兄さんも美人で妖艶な売れっ子男娼である。学生時代は毎日誰かに告られて、ナンパされるので、セイガ兄さんが威嚇して追い払っていたそうだ。 今思えばコチョウ兄さんが蝶なのは納得だ。 続いて蛾。 蝶とほとんど変わらないが毒を持つ。 蝶との区別は基本蜘蛛が食べてみないと分からないが……ビー兄さんが知ってたのは、稀少種の蜂故か、それともセイガ兄さんが本能で悟ったのか、そこら辺は分からない。 ここら辺は思春期に自覚する場合とそうじゃない場合がある。俺はまるで自覚がなかったので、ひとそれぞれということだ。 それにしてもセイガ兄さんが蛾かぁ。確かに美人なのだ。ただし黙っていれば。 口は悪いし喧嘩がめっぽう強いから。コチョウ兄さんとは同い年。俺たちは義兄弟だがこの2人は双子である。 そして蜘蛛。 蜘蛛は蝶を捕食する。蜘蛛にとって蝶は美味しくて美味しくてしょうがないフェロモンを放っているらしい。そして蛾も。だが蜘蛛は蝶と蛾の区別はつかない。どちりも美味しいごちそうだと認識する。 だが蛾には毒がある。普通の蜘蛛ならば、蛾の毒で死んでしまうのだ。そしてその時に、蛾を蛾だと知る……。 ――――――本来ならば。けど、俺はコチョウ兄さんとセイガ兄さんにフェロモンとか感じないけど。思春期にバース性を悟ってもいない、にぶにぶだからかなぁ。 ――――――続いて蜂、なのだが。 あ、文字数がっ!! 文字数が多くなりすぎそうなので蜂は次話で解説しよう……! 「そんな、なんで――――――っ!?」 あ、ビー兄さん起きた。
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