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長男、衝撃の希少種
続きましてー、えー、前回の続き。蜂について。
「イトたんがおにーたんのことを語ってくれるんだな。おにーたん、とっても楽しみ。超ムラムラするけど我慢して聞いちゃう」
そんなビジュアル系ロックバンドのクール系イケメンボーカルみたいな顔しやがって何つー変態発言を。てか、おにーたんって何。おにーたんって。今までの人生で一度も言ったことねぇわ。
さて、ツッコミもひととおりしたところで。
最後に一番稀少なバース性……変た……ちがった蜂の話をしようか。
蜂はひと言で言ってしまえば、蜘蛛に卵を産み付けてあんあんしちゃう変態である……!
「つまりはお兄ちゃんのことだ!」
その合いの手いらねぇっ!!
蜂については、その繁殖方法から語らねばならない。蜂は通常の繁殖ができない。蜂が繁殖するためには、蜘蛛と言うバース性に卵を産み付け、卵のために蜘蛛に蝶を食わせて産卵させる必要があるのだ。
因みに、蜂自身は蝶や蛾を食べない。食べても美味しくないからだ。なお、蛾の毒は蜘蛛にしか効かないので蜂が食べても大丈夫。ただ美味しくないし、卵を産み付けた蜘蛛が食べなきゃ意味がないので食べない。
そして蜘蛛が誤って蛾を食べればーーデッドエンド。
さらには、蜂は蜘蛛に卵を産み付けると、蜘蛛を意のままに操れるのだ。
まさに、寄生。蜂はどちらかと言うと寄生蜂なのだ。
蜘蛛自身が蝶を食べたいと望まなくても、蜂が蜘蛛に蝶を食べろと命じれば、蜘蛛は強制的に蝶を食べねばならない。
そして産卵すれば蜂の支配から解放できるが、その過程で力尽きて死を迎える蜘蛛、解放されても産卵の疲れで動けないところで、蜂に再び卵を産み付けられて逃れられない蜘蛛。さらには蛾を食ったらその毒で死ぬ。
蜘蛛……哀れすぎないか。いや、蜘蛛に捕食される蝶も蝶で生態系の一番下だからなぁ。
……でも、蜘蛛だけ蜂に卵産み付けられて絶対服従の上無理矢理蝶食わされるって……。
ヒドすぎない?
「だが、安心してほしいっ!!」
そして、何で俺の解説にいちいち音頭いれてるのか分からないが、ビー兄さんが立ち上がる。
「産卵には、徹底的に安全安心な環境を整えている。お兄ちゃんこう見えても、助産師と卵助産師の資格を持っている」
いつの間に取ったんだそんな資格ぅーっ!?しかも、卵助産師って何。初めて聞いたわそんな資格。
「でも、俺蝶食わされるっ!!」
「それも安心してくれ。イトたんに辛い思いはさせない」
「まさかとは思うけど、セイガ兄さんが拷問したあと始末に回す蝶を回すとか言わないよな?」
因みに蝶かどうかはバース性に目覚めればフェロモンでバース性同士で分かるらしい。ただし蝶と蛾の区別はつかない。蛾本人しか分からない。
蜂は目覚めていようがなんだろうが、生まれながらにして自身が蜂であることを知っているらしいが。
まぁそんなわけで。セイガ兄さんは蛾の認識……あるみたいだし。
「セイガは元々知ってたな。お兄ちゃんはフェロモンで分かっていたが、本人も自覚していた」
はぇー、そうなんだ。
ビー兄さん、たまには役に立つ。
「た、たまにはってっ!」
事実であるっ!
「ぐはっ」
「で、どうなの?蝶の件」
「あぁ、それか。セイガもフェロモンで分かるからな。対象が蝶もしくは蛾だった場合は闇ルートで蜘蛛と蜂に流してる」
やっぱりそう言うのあるんじゃーんっ!闇ルートだよ闇ルート!
きっなくさっ!!
「でも、蛾だったらどうするの?」
「蛾同士は蛾同士で分かるらしくてな」
蝶→蛾:蝶は蛾かどうかを判別できない
蛾→蝶:本能で自分とは違うと分かる。つまり蝶と言う結論に至る
蝶⇔蝶:フェロモンを知覚できれば気が付く
蛾⇔蛾:自分と同じと気が付く。つまりは蛾だと言う結論に至る
※なお、作品によって多少の差違があるから注意してねっ!
※この複雑さがバタフライバース!それこそバタフライバース!そしてこの迷路が魅力のひとつ!よく分からなくてもだぁいじょぉぶっ!蜂兄が変態なことは、変わらない安心事実である!
「拷問相手が蜘蛛だった時用に、死なない程度に少しずつ与えるらしい」
「いゃ――――――っ!!」
まさかの拷問道具行き――――――っ!!!
「俺……蜘蛛……どぉしよ」
「大丈夫だ、イトたん。拷問対象になる蜘蛛は、蜂に自我を奪われているわけでもないのに、バース性に目覚め、本能のままに蝶を食い漁ったような極悪人だ」
「何その蜘蛛恐い。てかそれでよく蛾に当たらなかったね。180度回って逆にすごいね幸運度すごい!拷問官に捕まった時点で運尽きてるけどね!」
「あぁ、それな?本当にあった恐い話たんだが……他の蜘蛛を監禁して味見させて蛾じゃないか確かめていたらしい」
「ひぎゃーっ!?」
ほんっと恐いっ!無実な蜘蛛も巻き込まれるサイコ蜘蛛ぉっ!
「だが安心して欲しい。セイガがめたんこに拷問して、始末したからな!」
「それ安心していいの?拷問死安心していいの?」
セイガ兄さんの所属する傭兵会社。やってることは警備保障が表の顔、裏では拷問傭兵表沙汰にはできない処理とか色々やっている。
「あぁ、プロの拷問による正当な処理だ。それにな……」
不意にビー兄さんの顔に影がかかる。
な、何だ?
カニバタフライバースの悶々としながらもボケツッコミ満載の解説してきたのに、いきなりシリアス?シリアス入るの?
「一番拷問にかけられる率高いのは、蜂だな」
「自分やないか――――――いっ!!!」
シリアスなど、杞憂であった。
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