06.LOVE & FUTURE

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「私たちの声で真実を伝えません?」 サナの提案は、パソコンに残されたLOVE & FAKEの顧客リストを印刷して路上ライブでばらまくというものだった。 「君は、アイドルよりロックが向いてるよ」 「じゃぁ、アキラさんとのユニットでデビューですね」 「デビューライブで解散だ。ロックだね」 告知はマコトチャンネルを使った。 未だにニュースなどでマコトが保護されたとか、発見されたとか報道はされていない。 世間的には、ヤラセに飽きて数日中に配信すると思われている。 チャンスだ。 ステージは、昔のツテで改造トラックの荷台を使うことにした。 BLASTAR時代、お世話になったニューハーフのママからだ。 「エリさん、ご無沙汰です。タカさんは元気ですか?」 「それが、昨日から帰ってなくて」 「その子は?」 「ユウ君。誘拐中よ」 「ベティ・ブルーですか」 「嘘よ。お子さんですか? くらい言えっての。ま、戸籍上男ってばれてるか」 「え? 男なんですか?」 「何、このお目が高い娘は?」 「限定ユニットです」 「ユウ君、何持ってるの?」 「すぷれー」 「この子、アートの才能あるのよ」 「せっかくだから、私たちが歌を、ユウ君がスプレーアートをしませんか?」 「この娘、本当はアイドルじゃなくてロッカーでしょ?」
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