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マコトチャンネルのお陰で、歌舞伎町某所には人だかりができていた。
改造トラックが開き、アキラとサナのロックが街を切り裂いた。
路上ゲリラライブなんて、すぐに警察に止められる。
曲は一発限り、勿論、お蔵入りしていたRegenerationだ。
「あれって、FAKE STARとSWEET POISON DOLLのサナじゃね?」
「なんで? マコトチャンネルで?」
「見て、何あの子、凄い!」
二人のビートに合わせて、幼い少年がステージ上にスプレーで世界を創造する。
狭いステージを降りて、アスファルトや縁石、違法駐輪自転車などを塗り替える。
自分のシャツに描かせる観客さえいる。
本物の天才画家の才能は確実に息子に遺伝していた。
「みんな真実を知る覚悟はあるよな?」
アキラの合図でエリがプリントアウトしたリョウの正体と顧客リストをトラックからばらまいた。
歌舞伎町に響き渡る歌声と少年のアートは、多くの人々の心を揺さぶった。
その様子は、SNSでどんどん拡散されていった。
ドラッグの蔓延よりも早く。遠くまで。
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