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「おい、逃がすなよ!」
「離してよ!」
ホストと少女が揉めている。
売掛を廃止にした処で、立替と名を変えて存続している。
そもそも罰則がない自主ルールは絵に描いた餅だ。
マジで喰えねえ餅だ、とアキラは思った。
「赦してやれよ。未成年を入店させる方が悪いんじゃないのか?」
「関係ない奴は黙ってろよ!」
アキラは路上にポイ捨てされた瓶をアスファルトで割り、ホストに向けた。
安物ワインはボトルも弱い。
助けたのは、気紛れか。
少女の格好が、バンギャだったからかも知れない。
「顔に傷がつくぞ。俺アル中で手許がブレるからな」
「分かった。よせよ」
ホストは少女を置いて逃げていった。
「ありがとうございます。あ……アキラさんですよね?」
彼は返事の代わりに短い溜息をついた。
ファンではなく、マコトの動画で知ったんだろう。
「マコトの……」
ほらな。
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