テメェを離すのは死ぬ時だってわかってるよな?~美貌の恋人は捕まらない~

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 立浪(たつなみ)市役所商工観光課のデスクに座って、先日撮影してきた有名な桜並木が連なる花見スポットの写真を市のホームページに掲載していたのだが。  頭の中は由貴(ゆき)でいっぱい。  昨夜、あの後も行くところまで行って若干身体が重怠いが、それは嬉しい悲鳴だったりするので幸せではある。  あるが――。  俺は今日、小鳥遊(たかなし)の連絡先を訊かなきゃいけないんだろうかと、さっきから溜め息を連発していたりする。 (何が悲しくて恋人の浮気幇助(ほうじょ)をしなきゃならねぇんだ……)  俺たちって本当に恋人なんだろうか……由貴は好きだと言ってくれるけれど、俺以外の女や男が絶えないし、行動を改める様子もない。  いや、俺が問い詰めれば良いんだってことはわかってる。  わかってるのに、どうしてもアイツに自分だけがこんなに執着しているなんて情けないことが言えなくて。  つい強がって勝手に遊んでろよ、みたいな態度を取ってしまうけれど、本当はムカついてムカついて仕方がない。  小鳥遊の連絡先を訊かなかったら由貴は怒るだろうか。  それでなくとも他の課の奴らまでもが由貴に秋波(しゅうは)を送っているっていうのに、小鳥遊だってアイツが連絡先を知りたがっているなんて言ったら、まず間違いなく堕ちるだろう。 (もうどうすりゃいいんだ……)  最初は由貴だって確かに俺だけを見てくれていた。  でも、いつしか由貴は俺だけの由貴じゃなくなっていた。  俺が何かアイツの気に障ることをしたんだろうか。  だとしたら、他に女や男を作っておきながら俺に愛してると囁いて別れ話も持ち掛けて来ないのは何でだろう。  それとも由貴が愛を囁いているのは俺だけじゃなくて、俺もその他大勢の一人にしか過ぎないんだろうか。  確かにあの日、二年前に由貴にお持ち帰りされた日、アイツは俺のことを好きだ、恋人になろうと言ってきた。  こうして同棲までしている。  なのに何で堂々と見せつけるように他の女や男に手出しして悪びれもなく俺と一緒にいるんだよ。  イライラを募らせていると――。 「風早(かざはや)先輩」  背後から小鳥遊の声が掛かって盛大な溜め息が出た。
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