おっさん鍛冶師、魔王戦に乱入する!

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おっさん鍛冶師、魔王戦に乱入する!

 俺の名はレスター、43歳。元Aランク冒険者で剣士兼鍛冶師だった。若い頃、勇者パーティーに加入するのを夢見ていた。  しかし、実績足らずで夢は叶わず、数年前に冒険者を引退。今は家業の鍛冶職人を継いでいる。  俺の一族は代々王国に聖剣を献上している名門だ。最近、新勇者用にミスリル聖剣を打って献上した。  鍛冶師人生の全てをぶつけて製作した傑作で、一族の技術が凝縮されている。命中した相手の魔力を奪いつつ、攻撃の威力に変えていく代物だ。しかし、使い手の剣技の熟練度が低いと威力が安定しない。    現役冒険者のときに自分でこれを使えていたらもっといい線行けただろうな、悔しい……もう、おっさんなのに、今更何考えてんだか。  ある日、王国のお偉いさんに呼び出される。 「勇者パーティーに帯同し、勇者様に聖剣の使い方をアドバイスしてくれ。扱いが難しいようだ。君も歳だし、戦闘は無理するな」  思わぬ形で夢が叶った!製作者としての責任もある。 「全力でサポートします!」    自分で作った聖剣を実戦で使いながら、実演アドバイスをした。  勇者に心配される。 「レスターさんの剣は、魔力と威力が連動しないことがあります。でも、無理な実演はしないで下さい。もう、引退してるんですから」    俺がサポートしながら、何度も戦いを切り抜け、ついに魔王戦に挑む!    魔王の右手から白い光が放たれる。空間が歪み、勇者を貫こうとした。衝撃波で地割れが起こる!  凄まじい魔力で、一発でもまともに食らったら終わりだ。勇者は聖剣で攻撃を弾き、動作の乱れた敵を的確に斬撃した。    パーティーはダメージを負うも致命傷は避ける。魔法使いの遠距離攻撃と僧侶の回復支援もあって、持久戦になり優位に立つ。    突然、勇者が助言を求めてくる。 「聖剣の威力が出なくなりました! どうしたらいいですか? 敵は弱りつつあります。チャンスなのに……」    魔力と剣技の不一致が起きている!俺がここで実演指導しなければ、王国の平和が揺らぐ。 「よし、聖剣を貸せ、俺がこれからやる技を真似しろ。君の魔力量なら一気に畳み掛けられるぞ。流れに乗って勝つんだ! おっさんでも見本くらいにはなる!」    俺は、上空左手突きを出すと決めた。射程が最大限に長く、速度も威力も出せる。ミスリル聖剣にピッタリの大技だ。行くぞ、魔王! 「オォォラア!!」    飛び上がり、相手の上空から突き技を狙う。一瞬反応が遅れた魔王に剣先が命中し、聖剣に蓄えられた魔力が解放される。 ドゴォォーン!ズバァァーン!! 俺が魔王討伐を果たしてしまった……  
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