♠️

2/2
前へ
/7ページ
次へ
──きっかけらしいものなんて、特になかった。  いつも教室の右端の一番前の席に座って真剣にノートを取っている人。  食堂でも窓際のカウンター席の右端に座っている人。  特殊な思想の持ち主なのだろうかと気になった。  三角碧生(あおい)。  いつも見ている横顔にとても似合う…綺麗な名前だな、と思った。  頼まれたら誰にでも、笑顔でノートを写させてあげる人。  飛び出しているイスをさり気なくしまう人。  植え込みに放られたペットボトルを拾う人。  気付いたらいつも君の事を見ていた。  気付いた時にはもう、好きになっていた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加