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【海月ゾーン】を出た後から、三角さんの様子が変わった。暗くて少し不気味な【深海ゾーン】に入ったせいだろうか? 「大丈夫?」 「…え?」 「暗いのとか苦手だったのかなって…」 「そんな事ないよ、大じょ…」  そう言いながら、三角さんはバランスを崩してよろけた。  緩やかな上り坂の途中で、大袈裟に首を振ったせいだろう。 「服…掴んでも良いし、もしあれだったらあの…明るくなる所まで手を…」 「え…」 「あの、ほら…両サイド岩みたいな壁だし、危ないし……と言うかあの…」  しっかりしなければと思うのに、嫌な汗が止まらない。  情けないけれど、暗いのが苦手なのは僕の方。  手を繋いで欲しいのは僕の方だ。
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