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「あー…でも、うん。手、繋いでて貰おうかな」
「え、あ……はい‼︎うん」
汗ばんだ右手の平をTシャツに擦り付けてから差し出すと、その手に三角さんの左手がそっと触れた。
玉砕覚悟のダメ元だったのに、まさかの展開。
そっか…やっぱり三角さんは暗い所が苦手だったんだ。
〈ベニオオウミグモ〉や〈タカアシガニ〉や〈ダイオウグソクムシ〉…。ぼんやりとした光に照らし出される深海の生物たちの姿が目に入る度に、ただでさえ早い心拍数が跳ね上がる。
キモッ
暗いし怖いし最悪だ…。
そんな僕にトドメを刺したのは、小さな水槽の隅に寄りかかった〈カワテブクロ〉の何とも言えない…いや、言ってはいけない気さえするその姿。
「ガハッ」
僕の過剰な反応のせいで三角さんはそれを、見なかった事にはできなくなってしまった。
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