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そこは約束の地
夜、ふかふかのベッドに潜り込んで眠る。少し前まで流浪の日々を送っていたのが嘘のようだ。
街から街へと渡り歩くサーカス一座。その一員のオレは今、生まれたときから続いていた旅を終えてようやくこの街で腰を落ち着けることができた。
旅が終わったのはオレだけじゃない、サーカス一座の全員がそうだ。
この街は神様が指し示した約束の地、オレたちのための王国では決して無い。けれどもこの街はさすらっていたオレたちを受け入れてくれた。
雨が降っても風が吹いても飛ばされない屋根の下で眠れる。もう逃げ回らなくてもいい。次に行く場所に不安を抱えなくていい。
暗闇の中でも安らげるこの街は、たしかに神様が導いてくれた約束の場所なんだ。
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