透明なエンゲージリング

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エミリーは勉強が得意だ。リオンにわかりやすく教えてくれる。そんな彼女はどこの高校に通っているのか気になりリオンは訊ねたことがあったものの、はぐらかされてしまった。 「エミリーって頭いいし、絶対通ってる学校って××高校だろ?あそこ頭いい奴しか通えないし」 「……私、そこまで頭よくないよ。ちょっと勉強できるだけ」 エミリーは少し寂しそうな顔をする。彼女は今日も頭に帽子を被り、大きめの服を着ていた。リオンは何かまずいことを言ってしまったのかと焦る。するとエミリーが訊ねた。 「リオンっていつも図書館に来るけど、学校のお友達や家族とどこかへ行ったりしないの?」 エミリーの何気ない言葉にリオンの胸が締め付けられる。それは彼が一番触れられたくないことだった。しかしすぐに思った。 (俺もエミリーを傷付けたんだから、等しく傷付くべきだよな) リオンはどう話そうかと少し考えた後、口を開いた。 「あのさ、ちょっと長くなるんだけど……」 リオンがシカゴに来たのは高校生になる少し前のことだ。それまでリオンが暮らしていたのは、シカゴではなくミネソタだった。 ミネソタでは母親と二人で暮らしていた。父親はリオンが物心つく前に事故で亡くなっていたからだ。生活はそれほど裕福ではなかったものの、リオンは毎日が幸せだった。
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