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旦那様は私の隣に座って、そっと抱き寄せた。旦那様の温もりが心地よくて、すごく好きだと実感する。
「君は私が選んだたった一人のツガイだ。それを……覆すことが起こるというのか? にわかには信じられない」
「旦那様……(そう……よね。普通は信じられるわけ……)」
「でも君がこんなに怖がっているんだ。一ヵ月後に何かあるのかもしれない」
「旦那様!」
ギュッと抱きしめ返す。ああ、やっぱり旦那様が好き。すごく好き。もし私が離縁したら、きっと後妻希望者が殺到するに違いないわ。そんなの見たくない!
「旦那様、本当は離縁なんてしたくないです……。今朝は……その失言でしたわ」
「ああ、ナタリア。自分から抱きついてきて嬉しいよ。嫌われたんじゃないかと、今日一日気が気じゃなかった」
眉がしょぼんと下がるので、旦那様の額に、頬に、唇にキスを繰り返す。キスを重ねるたびに旦那様の血色が良くなっていく。それにほんのりと頬が赤くなって、目が少し潤むのが好きで堪らない。ほんの少しの目の揺らぎで、旦那様の不安が手に取るように分かる。
「旦那様……っ、私は旦那様が大好きですわ。今朝は……頭が回っていなくて、その(空腹とは言えないのが……恥ずかしい)いろいろ混乱してしまって……ごめんなさい」
「いつもと様子がおかしいと思っていたのに、気遣ってやれなくてすまない」
「あら、旦那様はいつだって私のことを気にかけて大事にしてくださいますわ。それなのに私ったら、先走って旦那様を傷つける言葉を口にして……」
「いいんだ。あの言葉にもナタリアなりに考えての発言だったのだろう」
ようやく旦那様に謝ることができて、旦那様もそれを許してくれた。私の頬に旦那様の手が触れる。割れ物を取り扱うように丁寧で、私は旦那様の手がすごく好きだ。
「しかし一ヵ月後か」
「その……運命の人に出会うなんてことは……」
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