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目を潤ませて震えた声で鳴く。だいたい言いたいことが分かってしまう。艶のある黒髪が灰褐色になって、白髪も少しあるわ。
触れるたびに微かに震えて。
体がとっても軽いし、とっても冷たい。たくさん傷ついて、魂をすり減らして、それでも私に会うためにここまで来てくれたのね。
そう思うと涙が止まらなかった。
私はこの人を置いて逝ってしまったのだ。この不器用で、寂しがり屋で、優しくて、過保護で、愛情深い大事な夫を残してきてしまった。
「旦那様……っ」
あの日、旦那様が手を伸ばして助けようとした姿を思い出して、胸が痛んだ。
私の両手の中で震えている旦那様は、ずっと苦しんで、後悔して、ここまで来た。来てくれた。だから精一杯私もその思いに応えたい。
今、旦那様がほしいのは罰なのかもしれない。責め立てて、どうして助けてくれなかったのか。どうしてあの時に、守ってくれなかったのか。流れ込んでくる感情は後悔と、自分自身を許せない強い思い。
罰を望んでいたとしても、私はその願いには応えられないわ。だって痛々しいほど傷ついた旦那様の心に触れるたび、涙が溢れて止まらない。
小さく震える灰褐色の雀にキスをする。
「──!?」
「旦那様、旦那様を嫌いになるなんてありませんわ。今も、ずっと変わらずに私の中で大好きなのは旦那様です。あの時、旦那様の異変に気づいたのに……置いて逝ってしまってごめんなさい。あれは旦那様のせいではないわ、事故だったのですから。だから、自分を責めるのも私に謝罪するのもなしですわ。そうしないと、ううん、そうしなくても私が一方的に旦那様を愛でて、愛して、キスをしてギュッと抱きしめて離しません。これからはずっと、一緒です」
「ちゅううっん、ちゅんんん!!」
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