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「十二月かぁ」
コートを着込んで女体化して、公園でのにょんたんずの集まり。フーフーがそんな風に切り出した。
「十二月って言ったら踏んづけクリスマスだよなぁ」
「フーフー、毎年言ってるけど何なのそれ?」
「翡翠……。分からないんだ……。伊織先生のとこのにょたチョコ男子のイベントは結構動画配信されているんだけど、踏んづけクリスマスだけは分からないんだ……。イベント自体も十八歳未満は入場お断りなんだ……」
「そんなにヤバいのかなぁ?」
フーフーと僕が話している横でスイスイがペットボトルのココアに口をつけている。我関せずといったところだ。
「本当かどうか知らないけど、踏んづけクリスマスに関しては瑠璃お兄ちゃんが動画配信に反対したからだって話みたい」
「瑠璃お兄ちゃんが? なんで?」
「翡翠に見せたくないとかの話だったかな?」
「なんで僕が関係あるのさ……」
「瑠璃お兄ちゃんが恥ずかしいからだろ? 翡翠はぴんと来ないかも知れないけど、瑠璃お兄ちゃんは人類滅んでも翡翠だけは助けるような人だぞ?」
「それが何か関係あるの?」
「翡翠の前では格好つけていたいんだろ?」
「うーーん……」
瑠璃お兄ちゃんは確かに強くて優しいけど、僕に叱られるとめそめそ泣いちゃう人なんだけどなぁ。
「まぁ瑠璃お兄ちゃんの話はいいとして、今年も俺らが予想した踏んづけクリスマスやんない? 瑠璃お兄ちゃんたちは十二月は忙しいはずだから邪魔しに来ないだろうし」
「踏んづけクリスマスの予想かぁ……」
正直、全然予想はつかない。何回も予想で踏んづけクリスマスをやっているのに正解は誰も教えてくれないから。
「今年は僕の予想でやってよ」
突然スイスイが話に割り込んできた。
「お! 水、何かあるのか?」
「僕が予想したのは……」
てのが十二月のはじめの話だ。
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