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プロローグ
物心つく前から私には婚約者がいた。
世代錯誤な創始者一族の権力保持のための婚姻。
この時代、何の意味も持たない慣習。
大企業の創始者一族の権力は廃れてる。
株式上場により設立した会社が大きくなるにつれ、会社の権利が離れていく。
会社を継承なんてできないし、ただ一族で保有する株式が個人株主よりも多いだけで配当による収入で多額な資産を保有してるだけ。
「拓海、結婚するまではお互い自由恋愛しよう。結婚後も跡取りできたらそれ以降は仮面夫婦になろう」
「……」
政略結婚で結婚した私の両親。
お互いの事に興味を持たず干渉しない赤の他人な夫婦をしてる。
だから、子供に対しての愛情は微塵もない。
創始者一族の末裔という責務を課せられただけ。
両親みたいにはなりたくないと思うも、政略結婚からは逃れられない。
「俺は凛子と愛情がある夫婦になりたい」
神崎工務店の御曹司、神崎拓海は頭の中がお花畑だ。
一族会議で決められた相手と恋愛結婚しようとするアイツが、私は嫌いで堪らなかった。
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