被災時

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被災時

「さぁ、今日は大災害が起きたときに集合する場所を決めておこう」 「でも、最初は安全第一。本当の震災の時には、最初は自分で避難できるところへ行くのよ。落ち着いてから待ち合わせ場所に向かう事。」  ある日曜日の朝、父と母が突然言い出した。我が家は4人家族。父と母、私と妹。父と私は会社員。母は専業主婦。妹は高校生。  この所色々な自然災害が多すぎるので、これまで何度も周囲では言われていたことを急に実行する気になった様だ。 「まぁ、全員が近いのはあそこだな。この辺は指定避難所が沢山あるから迷わないようにしないといけないな。  小学校の避難所。家からも駅からも近いし、もし、外で災害にあった時にもどこかに行ったん避難して、後から集まるのにも分かりやすいだろう。」 「いいよ。じゃぁさ、全員が外で災害に遭ったとして、最終的にちゃんと集まれるかやってみようよ。」  妹が言い出した。 「え?休みなのに会社まで行くの?めんど!」 「とりあえず、会社方面の路線の一駅目まで行って家族ニャインで一斉に動こう。  今日の場合は交通機関が動かないってことで徒歩で集合だな。」 「まぁ、それくらいだったら30分位でつくから良いよ。」  私も渋々承知した。 「じゃぁ、みんな、行ってらっしゃい。」  自宅にいる母はお気楽なもんだ。  みんなそれぞれの会社や学校方面に分かれた。路線の一駅目について待っていると、一番遠い父から家族ニャインが入った。 『大地震発生。最終的な集合場所はさっききめた小学校。とりあえず、障害物などは無かったとして、歩いて集合な。では、みんな出発。』  当然母が一番近いので最初に家族ニャインに『ついたわよ~。』と連絡が来た。  今は勝手には校内に入れないので正門前に集合にしてある。  次は妹からの連絡が来るはずだが、なかなか来ない。  そうこうしているうちに私が先についたのだが・・正門前に母がいない。 『ねぇ、ついたけど、お母さん何処よ?』  家族ニャインに送った。  父からもニャインが届く。 『俺もついたぞ?二人とも何処にいるんだ?』  妹からは 『なんでみんなそんなに早いの?私が一番遅いじゃん。ってか正門前ってそんなに広くないのに会えてないの?』  みんな混乱した。  おかしい。私は自分が通っていた小学校が家から一番近いと思っていたからそこに来たんだけど。 そこへ、妹からも連絡が来た。 『私もついたよ。って、誰もいないじゃん。』  家族ニャインは静かになってしまった。  とにかく待ち合わせ場所を決めたからにはそこから動かないのがちゃんと会える一番の方法だ。  誰かが誰かを探しに行ったりするとその間に他の人がついたりして、行き違いになる。  みんな到着してっから30分ほど待ったが、これが埒が明かないと思ったのだろう。  父からの家族ニャインが届いた。 『俺は家の近くの一番星星小学校を言ったんだけどな。』 『あら、家から一番近いのは二番星小学校でしょう?』 『はぁ?私が通っていた三番星小学校では?』 『道理でみんな近いと思ったよ。私は家と駅に近いって言うから四番星小学校に来ちゃったよ。』 『すまん。一旦全員家に戻ろう。』  父から家族ニャインが入って、全員家に戻った。 「いやぁ、見事に分かれたな。小学校って言っただけなのがまずかったな。それに近いって感覚は人によって違うってことだな。」 「本物の震災の時じゃなくて良かったね。誰とも会えない所だったよ。」  私が言うと、みんな真剣に考え始めた。  父が市から配布されているハザードマップを出してきて、家から一番近い小学校をしっかり距離を測った。  家から一番近いのは母が避難した二番星小学校だった。 「よし。これではっきりしたな。二番星小学校へ集合だ。」 「一度訓練しておいてよかったかもね。」    妹が言った。  本当の災害が起きた時には今日よりもパニックになっているだろう。  そんな時に家族と会えないでいたら不安しかない。  うん。我が家の避難所は二番星小学校。  駅からの道も今度会社の帰りに確認しておこう。  備えあれば患いなし。  昔の人は良いこと言ったね。  まぁ、備えていても災害は大変だけど、備えていないよりは少しはいいよね。  突然の思い付きでやってみた家族避難訓練だったけど、私は他の防災グッズもこの際だから毎週週末に少しずつでも揃っているか確認しよう。と家族に提案した。
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