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香り
賑やかなざわめきと共に、通りすぎる少女達から、かぎ慣れたほのかな香りが、鼻にとどく。
独特な、乳くさい香りを漂わせていた頃は、とても短く。
あっという間に、年頃の娘になった彼女からは、ほのかな石鹸の香りが、漂ようようになっていた。
その濃厚な時間が、大変だったと同時に、懐かしいような、複雑で、離しがたい思いだった。
同じように感じたらしい彼女の肩を、そっと抱き寄せ、見知らぬ少女達を見送る。
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