天使の合唱

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天使の合唱

 そのまま、どれくらいの時間が過ぎただろう。  ふいに、子供たちのわいわいガヤガヤが近づいてきた。  そしてそれは、我が家の玄関前までやってきて、ドアが開くとともになだれこんできた。 「ママー! おなかすいたあ! みんなにもおやつー!」 「あ、は、はいはい!」  私はあわてて立ち上がり、廊下に出た。  娘を先頭にした小学生軍団が、二階にかけ上がっていった。  急いで人数を確認した私は、キッチンに舞い戻った。  娘は友達と一緒にきゃっきゃきゃっきゃはしゃいでいる。よどんで寒々としていた家が一転して、明るく楽しい空気に変わった。 「ようっし! 特製パンケーキといきましょうか!」  私はふだんは少ししかかけさせないメープルシロップが、たっぷり残っているのを確認した。 「えっと、確か桃缶もあったはず……。」  戸棚を探ると、黄桃缶とミックス缶があって、私はにっこりした。 「シロップの子とフルーツの子と……両方もアリにしましょ。」  モヤモヤもイライラも、すっかり吹き飛ばされていた。  都合のいいアヤツーー夫にメールしてあげるか、帰宅までお預けにしておくか。私はちょっとイジワルに考えて、ふふふと笑った。
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