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用意されていた朝ごはん
結局、答えが見つからないまま朝を迎えた。私は着替えて髪をまとめ、玄関横のキッチンへ向かった。
「え?」
いつも食事をするダイニングテーブルには、食パンとミカンと、牛乳を注いだコップが二人分並べてあった。
私はシンクのほうを見た。
そこには、コップとパン皿が1組あった。シンクの洗い桶に放ってあるのではなく、きちんと洗って、カゴに収められていた。
「……顔、合わせたくなかったんだろうな。」
いつの間にか背後にきていた夫が言った。
「そうね……。」
「でも、嫌われたわけじゃなさそうだな。」
「そう……よね。」
まだ包丁も使ったことがない娘が、わざわざ用意してくれた朝食を前に、私達はしばし立ち尽くした。
とりあえず二階に行ってみたが、娘の姿はなく、ランドセルもなかった。
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