ぐるぐる

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ぐるぐる

 出勤する夫を見送った私は、洗濯にかかった。完全に上の空だったが、体が家事を覚えていた。  娘が生まれる少し前に、私は退職していた。娘の手が離れるまでは、パートに出る予定もなかったし、もしかしたら二人目ができるかも知れないしとも思っていた。  だが、私の体は1人産むのが精一杯だったようだ。その後妊娠に至ることはなかった。  我が家の子供は、一人っ子になった。  その、たった1人の子に、避けられてしまった。  一体どう修復したらいいのだろうか。  だんだん、モヤモヤしてきた。  そもそもあの子がまだ赤ちゃんだった頃、夫に求められるのがおっくうだった。  なにより、天使のように無邪気な存在と同じ屋根の下で求められるのが、嫌でもあった。 「家の中で求めてこないで。」  そうはっきり告げたこともある。  だが、夫に言わせると、こういったことはやっつけ仕事じゃなく、気持ちの高まりだから仕方ない、幼い子を1人置いて外出するわけにもいかないだろうとのことだった。  それももっともだ。  だけど、だから結局、こんなことになってしまったんじゃないか。  モヤモヤに夫への怒りが加わった。  今日はきっと、遅くに帰宅するつもりだろう。娘が眠ってから。そして、日にちを置いてから何食わぬ顔をして、以前と同じ生活に戻る気に違いない。 「勝手なんだから! もう!」  ぜったいに顔を合わせなければならない私の身にもなれ!と言いたかった。 「ああ、ほんとにどうしたらいいのよ。」  私は昼ごはんのあと、テーブルに肘をついてうなだれていた。
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