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「それにしても遊園地って唐突だな。軒並み中途半端なテーマパークは潰れてるってのに」
「お、遊園地? あ、違う違う。遊休地? 遊休土地? なんかそういうの」
妹からそう知らされて少し調べてみたが、俺の頭ではよく理解できなかった。ただ、このニュータウンに住む人がいなくなって二年が経過するということだけは理解できた。
いつか、あの子にもう一度会わなくちゃいけない。
高校生の頃から想っていた「いつか」は結局やってこなかった。
月日が過ぎるごとに細かい記憶は消えてゆき、僅かに残る想い出にすら自分の夢や希望が邪魔をして彼女の面影を削っている。
初めて触れた女の子の唇の感触も思い出せない。
あの頃駆けて遊んだ道に立ち、そこから見える海を眺めても、暑くなりすぎた夏がスニーカーのソールをアスファルトに張り付けるように、俺をこの時間に留めた。
「初恋を追いかけるって行動は、馬鹿な犬が自分の尻尾を追ってグルグル回るようなもんだよ」
高校生になってようやく出来た「友人」と呼べる奴にそう言われたが、そいつの目に羨望の色を見つけて、俺は逆に決心した。
「俺は人間だぜ? 追い回すなんてしない。立ち止まって振り返るだけさ」
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