水素爆発は約束の証

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「勉強もした、全力で遊んだ。思い出の場所。大切な場所だ。間違えるわけないし忘れるはずもない」 「ごめん私はちょっと忘れてた」 「あとでチョップな」  生徒数五人の学校。私の、大切な場所。私は上を見る。雲一つない綺麗な空だ。 「お待たせー」  次に来たのはテミカ……だけど。 「あの、それアルパカ?」 「そ。可愛いでしょ。アルパカで来た」 「やめてさしあげろ、搭乗用動物じゃないよ」 「大丈夫だって。ここの入り口まではちゃんとバスで来たよ」 「バス? 通ってないよここ」 「そりゃ私が運転してきたに決まってんじゃん」  そっちかい。そりゃアルパカ乗せるなら必要かもしれないけど。え、まさかそのために大型免許とったの?  話ながらみんなも上を見上げる。建物は吹き抜けになっていて、五階まですべて見える。ここで無限かくれんぼをした。三日間行方不明になったテミカは校長先生に踵落としを喰らっていた。  きらきら、ガラス張りの施設。私たちの学び舎、思い出の場所。放置されてだいぶたつ、人が出入りした形跡もない。ボロいし立ち入り禁止にされていたからだ。 「あ、立ち入り禁止ゲートどうしたの」 「え、ダイレクトアタックでぶっ壊してきたけど?」 「そんな夜明けは東でしょ、みたいな顔して言われても」  装甲車も防ぐ仕様のゲートを壊せるバスとは。  太陽が昇る。もうすぐ昼だ。太陽がてっぺんにきたらお昼ご飯、というなんとも超アナログなランチタイムだったなあここ。懐かしい。あれから十二年か。 「で? 肝心の企画本人はまだなのか」 「あの言い方、絶対ここだって確信して言ってるからくるでしょ。今どこに住んでるんだろ? 遠いのかもね」  二人の言葉に耳を傾けながら、私は心地よい眠気がまたくる。みんなと遊んだっけな。  かくれんぼして、鬼ごっこして、水素爆発起こして、鐘をこっそり運んで五右衛門風呂にして。私は歩けないからいつも誰かがおんぶしてくれてた。  お昼を食べて、唐揚げ争奪戦が始まって、体育館の屋根に大穴開けちゃって。それから、それから。 「起きろー、寝るなよアイツがくるまで」 「うん」 「もうすぐ来るからさ、寝ないでお願い」 「うん」 「はよこいやアホンダラ」 「アホンダラって言葉使う人まだいたんだね……ムニャァ……」  ゴゴゴゴゴゴ! 「おーまーたーせー!」  そこら中に響く声、たぶんスピーカーか何かから流れてるのかな。地鳴りのようなものと共にきたのは……。 「やりやがった、自分でシャトル作ったか」  個人用ですと言わんばかりのちっちゃいロケット。確かに誰でも宇宙にいけるけど。 「どこで何してたの、マド」 「え? 蛇の海」 「うわー、やったよコイツ。月かよ」 「おう、月から来た!」
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