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「これ、まさか」
「俺が乗っ取った」
えっへん! とでも言いたげなマド。そうだ、そう言う奴だった。
「何か言って来たらこっちには人質いますけど~? っていう」
衛星による地球のシステムの管理は今や拡大の一途だ。軍事システムも……あ、だからカスターは軍に行ったのか。カスターはニヤッと笑ってる。
「ICBMも人質に取られてたら、黙るだろ。今は拳銃一本だってAI管理だ、その制御は地球じゃなくてこっちだからな」
「だから、行こう。私達の新しい家に」
テミカが笑う。私は泣いてるかも。アルパカがグリグリと頭をこすりつけてくる。なんだこの絵。
「約束した場所はここ。学校そのものであるアルテミスだ。アルテミスがいるところが、俺たちのいるところなんだよ」
三百連勤したのは、私のためだって思っていいのかな。
「新しい約束しようアルテミス」
「なに」
「俺たちは、今度こそ。お前を一人にしないよ」
「かっこいいじゃん、マドのくせに」
私は涙を流しながら笑った。
その後映画もびっくりな逃走劇や、AI戦争勃発寸前とかいろいろあったけど。まあ、ワルガキたちのおかげでなんかいろいろどうにかなった。
「いやあ、一番はやっぱり現存する発射台全部水素爆発起こしたアルテミスの狼藉……功績だよ」
「なんつった?」
「なんでもなーい」
そう言って私は地球を眺める。こんなきれいな景色、見たことなかった。
「パカ、散歩行こ」
人を乗せて移動することに特化したアルパカ。歩けない私の為に、テミカが大切に育ててくれた。アル、だと私とかぶるからパカ。
「私も約束する。もう二度と、生きることを諦めないから」
みんなの笑顔に、私も笑う。私たちがあとどれくらい生きられるかわからない。地球の連合軍とか、次の有機コンピューターができて滅ぼされるかもしれない。
いいの。ここが、今が、大切なんだ。そしてちょっと欲張って、未来への願いを込めて約束をしてみる。地球を眺めながら、最高の場所である月で約束を。
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