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1*謎すぎるラブレター
類は友を呼ぶ。
『特別な人』は『特別な人』と仲良くなる。
だから僕も『特別な人』になりたい。
無理と分かっているけれど、『特別な人』の隣にいたいんだ。
***
五月半ばの月曜日、午前八時二十分少し前。
寝坊してしまった僕は、教室の後ろ側の戸を勢いよく開け、二年B組へ駆け込んだ。
――ん? 教室前の黒板に人が集まってる。何か重要なお知らせでもはってあるのか?
嫌な告知じゃないといいけど……と、僕が二歩前進した時。
人だかりの一番外側にいた野々山くんがふり向き、僕を見た。
「おっ! お届け先の梅木がようやくご登校だぞー!」
中途半端にイキっているお調子者――つまりからまれると面倒臭い系の野々山くんが、ゲスい笑顔で叫んだ。
「ヒューヒュー!」
「よっ、モテ男!」
「キャー! 梅木く〜ん!」
黒板の前へ集まっていた全員が一斉に僕へとふり返り、野々山くんと同じニヤついたゲス顔で、ワケが分からないことを口々に言ってくる。
いったい僕の身に何がおこってるんだ?!
(ちなみに我が私立法剣高校は男子校なので、「キャー!」は野太く茶色い悲鳴だ)
「野々山くん、お届け先って何?」
「まぁまぁ、見りゃすぐに分かるから」
黒板前の人垣が二つに割れてできた道を、僕は野々山くんに背中を押され、意味不明なまま歩かされる。
すぐに僕は黒板前までたどり着き――今己の身におきている事態を把握した。
黒板にはA4の紙が一枚、赤色のマグネットではりつけてあった。
『梅木スグル様
突然こんな手紙をわたして、ビックリさせてごめんなさい。
でも、どうしても伝えたいことがあって……。
二年前の冬、はじめて会った時のことを覚えていますか?
その時から私は、あなたのことがずっとずっと好きです。
どうかつきあってください。
お返事待ってます。』
らららラブレター!!??
僕宛のラブレター!!??
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