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エピローグ
お風呂から上がった僕は、異変がないか確かめようと、あらためてダンボールへと近づいた。
ダンボールの紙は初めて見たときよりも経年劣化していて、ところどころ色が薄くなっていた。
たったの半年ちょっとなのにね。
そんなことを思いながら、ダンボールの横にしゃがみこんだ。
そっと、顔を箱へと近づけて耳を当ててみる。
何も聞こえない。
薄いダンボールの向こう側には、シャットダウンされたコンピューターがひっそりと置いてあるかのよう。
まあ、そうしたのは僕なのだけれど。
「あのね、笹紙君」
僕はゆっくりと上体を起こし、ざらざらしたダンボールの表面を撫でながら囁きかける。
「君はね、ニセモノを生み出したその日から、本物でいるための努力を怠ってはいけなかったんだよ」
僕は小さく笑った。
それからパソコンを立ち上げると「君の頼れるコピーくん」のサイトにアクセスし「新規購入」ボタンをクリックした。
完
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