想定したシナリオ

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 俺は俺と見た目がそっくりの高橋に話した。 「それで、高橋、おまえ、これからどうするんだ?」 「片岡さんのこれまでの経歴を使って、僕を馬鹿にしてきた奴らを酷い目に遭わせます」  俺はその言葉を聞いて嬉しかった。いつもいじめられている高橋がやり返すのは痛快だ。 「でも、見た目は同じでも、声や仕草で偽物だとバレるんじゃないのか?」 「大丈夫です。この日のために片岡さんに似た声を出せるようになって、仕草も勉強しましたから」  俺は高橋がやり返す所を想像して嬉しくなった。 「よし、それなら、思う存分、暴れてこい!」 「はい!」  高橋はいじめていた奴らを俺の権力を使って捕獲すると地獄を味わせた。  そこまでは俺も想定していたシナリオだった。でも高橋は俺に成り変わり、本物の俺を偽物呼ばわりして牢屋に閉じ込めた。  俺の力を使わせてやったのになんて仕打ちだ。俺は牢屋の中で後悔した。
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