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「下見にもなりそうですね。やっぱり、秘書って凄いなぁ。俺も秘書欲しくなってきました!」
「ふふ、ありがとうございます! 早速、日本酒はいかがですか? あ、もちろんビールもありますよ」
優太さんは一度メニューに目を通しつつ、「せっかくだから日本酒で!」と言ったので、乾杯用のお酒はスパークリング日本酒にした。
二人で「乾杯」とグラスを寄せ合い、シュワシュワとした飲み心地を堪能する。癖が無く口当たりが良いので、どんどんお酒が進んでしまいそうだった。
他愛もない世間話をしていると、突然、優太さんが「そういえば」と口を開いた。
「恒希と一緒に住んでるって、びっくりしましたよ!二人の仲がそこまで進展してたなんて!」
「あ、いえ、進展はしてるような、してないような感じでして……」
これまでに起きた元カレのストーカー騒動や、家に来て襲われたこと、そこに恒希さんが助けに来てくれたことを優太さんに包み隠さず話した。
話を聞きながら「えぇ!?」とか「恒希、やるなぁ」とか、分かりやすいリアクションをしながら聞いてくれていた。話し終えると、優太さんはなぜかバッと頭を下げた。
「乾さん、先日は本当にすみませんでした!!」
「え?」
突然頭を下げられたものだから、えっと、と戸惑ってしまう。今の流れでなぜ優太さんが謝るんだろう。何のことかさっぱり分からなかった。
「俺、後悔してたんです。乾さんに『恒希に中途半端な気持ちで近づくのはやめて欲しい』って言ったこと」
「何でですか? 優太さんの気持ちも分かりますし、大事な友達だからこそ、ですよね」
「はい……でも、恒希がそこまで乾さんを大事に思っているのに、二人の問題に俺があれこれ言うのはおかしいなって」
苦々しい顔をされると、こちらまで心苦しくなってしまう。そこまで重く受け止めなくても良いのに……本当に、恒希さんとは仲が良いんだろうな。
「そのお詫びと言ってはなんですが、乾さんの質問には出来る限りお答えしますので!」
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