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お姉ちゃんが勢いよく居間に駆け込んできた。また寝坊してきたみたいだ。毎朝のことなんだから、五分とか早く起きればいいのに、と思うけれど言うと怒られるので言葉にはしない。
「ご飯食べてたら朝練間に合わない。お母さん、牛乳だけちょうだい」
お姉ちゃんは高校でバスケットボールをやってる。毎朝、部活動があるらしくて早くに学校に行かなくっちゃいけない。なのに、ギリギリまで寝ているから、いつも朝ごはんを食べない。それでよく体力が持つなと不思議に思う。
「ぷはぁ。行ってきます」
コップに入れてもらった牛乳を一息に飲み干して、口の周りを袖口で拭いながら、お姉ちゃんは玄関の方にかけていった。いつも通り慌ただしい、台風のようなお姉ちゃんだ。でも、いつから牛乳を飲めるようになったのだろう? 牛乳はお腹痛くなるからって飲まなかったような気がする。僕はすでに見えなくなっているお姉ちゃんの後ろ姿を思い返した。
やがてコーヒーを飲み終えたお父さんも家を出て行った。僕が学校に行くまでにはまだ時間がある。洗濯物を干し終えたお母さんが、「お茶でもいれようか」と言って、まだ入っているお兄ちゃんの湯呑みを台所に持って行った。自分のお茶と一緒に僕とお兄ちゃんのお茶も入れてくれるのだろう。いつも笑顔で元気なお母さんが僕は大好きだ。
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