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夕食を始めようとしたとき、スマホがメールの着信を告げた。
俺はテーブルの上のスマホを手に取り、画面をタップした。メールは、大学の同級生だった三島からだ。今度、同窓会を開くので、出席するか欠席するか、返事が欲しいということだった。そういえば、三島が同窓会の幹事だったということを思い出した。卒業して五年になる。そろそろ同窓会を開いてもいいころだ。
俺は日本でも有数なメガバンクであるUFO銀行に勤務している。俺が卒業した大学のレベルでは、決して就職することなどできない会社だ。当然、大学でそんな会社に就職しようなんて、無謀な考えをする学生はいない。
そろそろ就職のことを考え始めたころだった。
俺は学食で一緒にランチを食べていた三島に言った。
「AIでエントリーシートを書いて、大企業に送ってみれば面白いんじゃないか」
「どうせ大学名を見た段階で、不採用になるに決まってる」
三島は鼻先で笑った。
「じゃあ、やってみよう」と俺は言って、UFO銀行にエントリーシートを送った。ところが、何を間違ったのか、最終面接まで進んでしまった。それだけでも凄いことなのだが、驚いたことに、俺は採用されて一流企業の社員になってしまったのだ。
三島に、出席すると返事した。俺は同級生の中では一番の出世頭だ。同窓会に出て、エリート社員の自分の姿を皆に見せてやろう。優越感に浸ることにしよう。
「来月なんだけど、大学の同窓会の案内が来たんだ」
俺は妻の晶子に言った。
晶子は俺のS高時代のサークルの後輩だ。ミスS高とも呼ばれたほどで、校内を歩けば男子生徒たちの目を惹きつけたものだ。
卒業のときに告白して以来ずっと交際を続け、去年結婚した。
結婚と同時に、奮発して都心のマンションを購入した。ベランダ越しの夜景を見ながら食事をするのは楽しみの一つだ。
「行って来たらいいじゃない。その日は、わたしも友達と食事しに行こうかな」
そう言って、晶子は手にしたワインのボトルをテーブルに置いた。
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