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「おやすみなさい……」
目を閉じると、地面に吸い込まれるように、私は眠りに深く深く堕ちていった。
第13話
◇◇◇
夢の中、私はレイラに戻っていた。
レイラは半透明の体で空に浮かび、物置小屋で膝を抱える幼子を見下ろしていた。
見下ろしているのは、私――リリーベル・シブレットだ。
まだレイラとしての記憶も、『大自在の魔女』の力も取り戻す前の、か弱い一人の女の子だった頃だ。
この時、私は父に頭ごなしに怒鳴られ、折檻として物置に閉じ込められていた。
小さなまどから入る夕日だけが、部屋の中の唯一の明かりだった。
肌寒そうに、リリーベルは小さな手で細い肩を抱きしめる。
夢の中の私は、これから日が落ちて物置が冷え、ますます寒くなることに怯えていた。
なぜ怒られたのか。
きっと暴走した『大自在の魔女』の能力で、ものを壊したりしたんだと思う。
何もしていないかもしれない。ただいるだけで、不気味だと言われていたから。
レイラの記憶を持った今なら分かる。私は叱られるとき、まず怒鳴られていた。
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