転生魔女はメイドになって、今度こそ愛する家族を幸せにします。全力で!

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「よくも婚約破棄されてくれたな、能なしの『亡霊憑き』め。穀潰しは出て行け!」 「はい、お世話になりました!」  私リリーベル・シブレットは元気に頭を下げて、父の気が変わらないうちに手荷物を背負って玄関を出る。  庭を駆け抜けて外につけた幌馬車に飛び乗ると、御者のトムさんがあちゃあ、と帽子の上から頭をかかえた。 「やっぱり追い出されちまいましたか、お嬢様!」 「ええ、ばっちりよ! トムおじさま、早くだして!」 「言われなくとも」  街へと運ぶ荷物がいっぱいの幌馬車の中、私はバッグをぎゅっと抱えた。  私はやっと自由になった。  気に入らなければ殴ってくる父とも私を義弟妹のスケープゴートにして助けてくれない継母ともお別れだ。  私は前世の記憶を思い出した5歳のとき――5年前から、ずっと実家を追放される為に我慢してきたのだ。  父に殴られ、固いベッドの端で頭を打ったとき、5歳の私は思い出した。  自分が10年前に世界を救って死んだ『大自在の魔女』レイラ・アンドヴァリの生まれ変わりだと。
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