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第一話「 義勇兵 」
( キャラ評 )
名前 龍端( 蒼輝
性別 不明 ( 声役 どちらでも可能 )
詳細 皇王朝を長年支え、没落した龍の一族と言われる生き残り。武勇、知略に優れ即席で寄せ集めの義勇兵を束ねる統率力を持つ。後に飛翔龍騎と言う2つ名を持ち、その武名を轟かせる。
名前 泊操(猛得 )
性別 男
詳細 西国の皇臣、泊家の当主。野心に満ち溢れ覇道を歩まんとする青の巨星を持つ者。清濁併せ呑む強い覚悟を持っており、腐敗していく王朝の中で成り上がろうと戦っている。
名前 尊圭( 萩案 )
性別 男/女( 声役 どちらでも可能 )
詳細 南国の諸侯。虎の一族と言われる尊家の当主。快活で胆力に溢れる武人であり、泊操からは虎殿と呼ばれている。猛虎南聖の2つ名を持つ程の剣の達人であり、赤の巨星を持つ者。
N( ナレーション )
( モブ配役 )
美勇、伝令→龍端
円新、義勇兵A→泊操
張山、義勇兵B→ナレーション
N( かつて、群雄達が跋扈し覇を競う時代があった。数多の英雄達が対等し、数多の巨星達が輝き散っていった。そんな混沌とした時代の中、奴隷の身分から天に昇る一匹の龍がいた。「 飛翔龍騎 」と呼ばれた一人の義勇兵がいた。そんな義勇兵と、覇を競う四人の群雄の物語。 )
N( かつて英華を誇った大帝国「 皇 」は、腐敗していた。幾人の帝が帝位についたが、皆早世し、政権が安定しなかった。その隙に権力をつけたのが、皇后の親族連中である外戚達。宮廷内で好き勝手し、贅沢をする外戚達。自体を重く見た順帝は、宦官達を側近に取り立てる。外戚と宦官の権力争いは、宦官達が勝利。だが、次は宦官達が権力を握り汚職が蔓延。そのしわ寄せは民達に行き、晴天道の教祖・張学の手動の元一揆が勃発。晴天道の信者達が各地で暴れ回った。)
美勇「天下万民を脅かす晴天共め……。許せぬ!万民に笑顔を取り戻すため!私は戦う!」
N( 東国では、一人の草鞋売の青年が、志を胸に立ち上がった。 )
泊操「 我らも鎮圧に動くぞ。宮内の無能共に、これ以上良い顔をさせては行かぬ!」
N( 西国では、覇道を歩む青年がより大きな力をつけるために動き出した。 )
尊圭「 今こそ、虎の一族である我等が尊家の力を見せつける時!」
N( 南国では、虎の一族と言われる者達がその牙を剥き出しにした。)
円新「 今こそ名家である円家再興の時なり!名声、轟かせようぞ!」
N( 北国では、没落した名家を再興させる為に。)
N( 後に、群雄と呼ばれる者達が動き出した。この戦いを晴天の乱と言われ、皇の衰退を招くきっかけとなる。 )
泊操「 睨み合ってもう2週間。この吾十の砦をどうやって落とすか……。」
尊圭「 向こうの軍は20万。一方、我等は5万だ。義勇兵は5000……あてにはならん。」
泊操「 だが、そろそろ兵糧も心許なくなって来ている。このままでは、兵の士気は下がる一方…… 」
伝令「 伝令です!義勇兵5000の部隊が、敵陣に向けて勝手に出陣しました!」
泊操「 何!?」
尊圭「 戦闘に立つあの者は…… 」
N( 右手には剣を、左手には薙刀を、戦闘をかける若き義勇兵。 )
龍端「 兵共!思い出せ!我等は何の為に戦っている!?平和の為か!?自分の為か!?違うだろ!!我等は、大切な人の為に戦っている!家族!恋人!友人!守りたい者達がいるはずだ!戦わなければ、奪われる!守りたいなら戦わないと行けない!俺達は仙人でも神でも人間だ!志を1つにした人間だ!村を守れ!畑を守れ!親を守れ!子を守れ!」
N( その義勇兵の言葉で、士気が下がりかけていた本軍の兵達も歓声をあげる。育った環境、出身、立場……違うかもしれない。だが、様々な理由があろうと今は1つの戦場にいる。なれば、駆り立てよう。兵よ、賭けろ。 )
龍端「 龍蒼輝!押して参る!」
尊圭「 ハッハッハッ!あの若者!面白いな!ワシは行くぞ!」
泊操「 虎殿は言い出したら聞かないからな。者共!出陣だ!」
N( この時、義勇兵5000と本軍5万の兵士達を駆り立てた若者こそ、飛翔龍騎。……名を龍端、字名を蒼輝。後に、群雄全員が欲しかった希代の英雄である。 )
龍端「 本軍が動いた。4000だけ残して、残りの1000人は自分と来い!迂回し、砦の候補に周り総大将の首を狩る!」
N( 義勇兵とは、徴兵では無く自ら志願して兵になった者達。そこには此処の思惑が存在し、名を上げたい者、強くなりたい者、功績を上げ出世したい者。そんな寄せ集めに近い者達を纏める統率力。そして、共通認識。あの若者がこの5000人を率いる長だと。 )
尊圭( あの若者……歴戦の将と彷彿させる統率力。そして、互い違いの獲物を同時に扱う剛力に器用さ……只者では無いな。 )
泊操( 龍……の性を持つ者。まさかな。 )
泊操「 そこの義勇兵!抜かるなよ!」
龍端「 分かっている。次会う時は、大将首を持って来る!」
N( 吾十砦・内部 にて 。)
張山「 たかだか5万の軍だろ!何故押し返せぬ!?」
伝令「 敵軍の兵の式が思いの他高く……」
張山「 言い訳はいらん!」
伝令「 そ、それよりも!監視によると、1000の義勇兵が砦の後ろに取り付き!城門を破り、内部に侵入したとのこと!」
張山「 バカめ!中には5万の晴天道の兵がいる!」
N( だが、砦の裏門は惨状となる。 )
龍端「 城門を破った!今だ!」
N( 龍端の指示で投げ込まれたのは、大量の油。そして、龍端は火を投げ込んだ。瞬く間に炎上し、焼かれた兵が暴れ回り連鎖的に火が次々と移って行く。 )
龍端「 水は被ったな!?雑魚には目をくれるな!残り全部の油を道線に巻いて、敵総大将・張山の元まで行くぞ! 」
N( 数多の敵兵が彼等を追いかけるが、油を巻かれ足場が悪く要所要所で火を付け回ることで、裏門以外にも火の手は拡大する。砦内の兵達は悲鳴を上げ、その悲鳴は外で戦う者達にも聞こえ、晴天道の兵達の士気は下がって行った。 )
泊操「 今だ!殲滅しろ!」
尊圭「 好機だ!城門を壊せ!」
N( 城門を怖そうと刹那、突如として城門が開く。ゆっくりと開く扉の隙間から、ボトッと……一人の首が投げられた。 )
泊操「 まさか、本当に成し遂げるとは…… 」
龍端「 敵総大将・張山の首……討ち取ったぜ!」
N( そして、兵達の歓声が上げられる。 )
尊圭「 義勇兵を指揮する統率力、作戦を立て実行する知略、そしてそれらを纏める武勇……貴様、名を聞こうか。 」
龍端 「 性は龍、名は端、字名を蒼輝と申す。」
尊圭「 龍の性を持つ者……。貴様、龍の一族か?よもや虎と対をなす龍の一族が生きていたとは。 」
泊操「 場所を変えた方が良さそうですな。聞きたいことは山ほどあるが、まずは戦功を称えねばな。我等の本陣に来てくれるか?砦は、鎮火するまで時間がかかるようだしな。 」
N( 本陣にて。 )
泊操「 まずは、義勇兵として勇軍に参加した志を称える。そして、総大将・張山を直接討ち取り、ここに金と宝賞を授与する。 」
龍端「 ありがたき幸せ。 」
尊圭「 さて、堅苦しいのは終いにしよう。龍の性を名乗ってるが、貴様は本当に龍家の者か?」
龍端「 はい。 」
泊操「 だが、龍家は20年前に滅んだはずだ。」
尊圭「 あぁ。確か龍家は代々帝の側近護衛を担っていた名家だった。20年前、零帝の暗殺を企て、取り潰しにあったとされた。 」
龍端「 事実は定かではありませんが、私が母から聞いた事をお伝えします。 」
尊圭「 聞かせてくれ。龍の一族に何があった?我が尊家は、龍家と共にしのぎを削り高めあった。ワシは、未だに龍家が帝暗殺の大罪を犯そうとそうとしたは思えぬ。 」
龍端「 皇王朝・高祖・皇正、彼に使えた武人・龍昇は幼き頃に武者修行の果てに陣岸にある仙道山に登り、龍の血脈を浴びと伝承されています。 」
泊操「 仙道山……あの未開の大山か。 」
龍端「 龍の血脈を浴びたことにより、祖・龍昇は鬼神の如き肉体を手に入れました。その肉体は我々子孫にも受け継がれてきました。何代にも渡り受け継がれる中、20年前・一人の男は更なる力を求めました。 ……権力です。 」
泊操「 一人の男、そやつは誰だ!?」
龍端「 今の順帝の皇后、その父親である饕本。本当の名は龍泉我が父の弟で、非常に悪知恵も働く者でした。まずは宦官達に根回しを行い、実際に帝の暗殺を計画。計画の証拠を宦官達に密告し、宦官達は龍家を取り潰す大義名分を得たのです。」
泊操「 側近護衛は、宮内の中では帝に継ぐ役職だ。強欲で出世欲の塊である宦官達からしたら、長年側近護衛の役職に着く龍家は邪魔だったのだろう。 」
龍端「 突如として大量の兵が押し寄せ、陣岸の地は惨劇のような光景が広がり、母と自分は父が何とか逃がして今に至ります。龍泉……いや、饕本はとある宦官の養子となり、名を変えました。人脈を利用し、謀略を宮内で働いております。 」
尊圭「 前から宮内はきな臭いとは思っていたが、まさかそのような事があったとは……。だが龍端よ、仮に貴様が龍の一族の生き残りだったとして、何故義勇兵なんかに志願した? 」
龍端「 この晴天の乱も、全て饕本が仕組んだものです。晴天道が各地で暴れ戦を起こす事で、諸侯の力を弱めためです。 そして更なる権力を拡大させ、次期に王朝を簒奪し、新たな帝にでもなろうと考えている。……自分は、一族の復讐と、これより迫り来る更なる大乱を止めるために参った次第です。 」
尊圭「 その話が事実かどうからまだ分からん。それに、本当に貴様が龍家の生き残りかどうかも……だが、その武勇と知略は龍を名乗るのに相応しきものよ。 」
泊操「 馬に跨り先陣を斬るその姿は、まさに飛翔する龍……これから名乗りの前にこう言うが良い。【 飛翔龍騎 】とな。 」
尊圭「 そして、これはワシからの褒美じゃ。 」
N( 尊圭は指笛を鳴らすと、一匹の鷹がやって来る。 )
尊圭「 死竜鷹だ。獰猛で、非常に頭が良い。既に28人、戦場で人を殺ししにくを貪っている。頭が良い反面、人を選ぶ鷹だ。 」
龍端「 良い爪だ。そこら辺の剣よりもよく斬れるだろう。 」
N( 鷹は龍端の腕に乗り、頭を下げ忠誠を誓った。 )
泊操「 良い鷹だ。 羨ましい限りよ。今度鷹狩にでも行こうではないか。 」
尊圭「 名前でもつけてやれ。 」
龍端「 これより、お前と自分は二人で一つだ。飛翔龍騎……翔騎。お前の名だ。 」
泊操「 飛龍と、翔騎……面白い。 」
尊圭「 我等は砦の鎮火がすみ次第、吾十を拠点とし東国と、北国の連合と合流し洛央の晴天道の本隊と戦うつもりだ。 」
泊操「 道中、残党や別働隊の敵と相見えるだろう。お主の武勇があれば、それらを蹴散らし連合と早く合流できる。我等と同道願えるか? 」
龍端「 自分でよろしければ。 」
泊操「 頼もしい。孟優・張山を討ち取ったその力、今度試させて貰うとするか。 」
尊圭「 なら、ワシは今挑むとするか。飛翔龍騎の名は広めるには、ワシはうってつけじゃろうて!」
龍端「 かの猛虎南星・尊圭殿と手合わせできる、これ以上の褒美がありますか!ありがたい限りです!」
N( そして数刻した後に、本陣のとある広場にて。 )
兵士A「 なんだこの人集りは? 」
兵士B「 先程、先陣を斬った義勇兵がいただろ?あの義勇兵と、尊圭様が手合わせをするんだと。 」
兵士A「 確かアイツ、張山の首持ち帰った奴だよな!面白い勝負になるんじゃねぇか!?」
兵士B「 俺は尊圭様に賭けるぜ。 」
兵士A「 じゃあ俺は、あの義勇兵だ! 」
泊操「 虎殿、あまりはしゃがれてはなりませぬぞ。 」
尊圭「 分かっておるわ。 ……猛虎南聖・尊萩案!推して参る!」
龍端「 飛翔龍騎・龍蒼輝!参る!」
N( 二人の刀剣がぶつかり鍔迫り合う。 )
尊圭( ッ!?なんと言う剛力……分かってはいたが想像以上だ……だが! )
龍端「 うぉ!? 」
尊圭「 ワシは……負けぬ! 」
N( 尊圭は龍端を押し返し鍔迫り合いを制す。そして、間合いを詰めようと迫っるが、薙刀が振るわれすんでのところで回避し、その脚を止めた。 )
尊圭「 くっ! 」
龍端( 今のを避けるとは……さすが、猛虎だ。 だが、これならどうだ! )
N( 足を止めた尊圭に、龍端は圧倒的な速さの突きを繰り出す。 )
尊圭( 速い!……だが、さばけぬ速さでは無い!)
N( 火花が散り、鉄と鉄が打ち付け合う高音が響く。尊圭は愛刀で上手く防ぎつつ隙を探していた。 )
尊圭( 好機! )
N( 僅かな隙を見せつけ、半身で突きをかわし、薙刀を掴む。 龍端は剣を投げて反撃するが、弾かれる。 )
尊圭「 もう何もできまい! 」
龍端「 油断ならさぬように。 」
尊圭「 んッ……くっ!? な、何ィ゛!? 」
N( 龍端は、薙刀を掴んだ尊圭をそのまま持ち上げてしまう。 )
龍端「 終わりだ! 」
N( 龍端はそのまま地面に叩きつけ、悶える尊圭の喉元に薙刀を当てる。 )
尊圭「 くっ……はは、やりおるわ。貴様の勝ちだ。 」
N( そして、歓声が沸く。これにより、飛翔龍騎の名は、国内に広がる事となるのだ。 )
尊圭「 見誤ったわ。貴様の剛腕、それに、まだ本気では無いな。 」
泊操「 だが、実に良い物を見せてもらった。」
尊圭「 次はワシが勝って見せる。虎の牙、まだまだ研ぎ続けねばな!」
龍端「 尊圭様もかなりの手練でした。)
尊圭「 貴様に褒められても面白くないわ!まぁ良い!いつか本気の貴様、見せてもらおう!」
泊操「 ただの義勇兵にしておくのは惜しいな。この先の時代、まだまだ天下は荒れるだろう。お主はその時、誰の元にいるか。願わくば、この泊 猛得の元にいることを願おう。 」
N( 晴天の乱はまだ始まったばかり、そして更なる未来に待っているのは、二匹の龍が戦場を駆け殺し合う未来。群雄の巨星の中に新たな輝きが光っている。 )
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