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01.君だけのナイト
自分年表を作るなら、間違いなく5歳の欄に【ターニングポイント】と記すだろう。
「ひびき、……ごさい」
「……っ」
出会った瞬間、全身に走った衝撃は歳を重ねた今も鮮明に思い出せる。
「あら可愛い、涼と同じ歳ね」
「そうなんですか?幼稚園は……」
「ヒカリです」
「え、偶然!響も……」
親同士の会話など一切耳に入れず、ただただ一点を見つめていた。
自分よりも低いところからこちらを見上げる瞳はビー玉のように美しく、白い肌に生えるピンク色の唇は艶やかな果実のよう。
(……可愛い、お姫様みたい)
絵本を読むより外で遊びたがるような子どもだったが、去年のお遊戯会で劇をした白雪姫の絵本だけはよく覚えていた。
白い肌も艶のある髪の毛も、目の前のその子は自分が知る唯一のプリンセスそのものだった。
可愛くて、か弱いお姫様。誰かが守ってあげなきゃ死んでしまうお姫様。
……この子は自分が必ず守らなければ。
齢5、直江涼。
神から与えられた使命を理解した瞬間だった。

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