あの日の空

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あの日の空

 私と華は、いつも一緒にいた。  あれは高1の終わりごろ。  あの日の景色は今も、頭の中でくっきり再現できる。  怖いくらい綺麗な夕焼けの空。 学校からの帰り道。 私たちはしっかり手を取りながら歩いていた。 「ねぇ、綾。将来、私たちがお互い結婚して、母親になったとしても、家族ぐるみでずーっと仲良くしていたいね。私たちの子供が男の子と女の子だったら、小さいころから一緒に育ってきた幼馴染でしょ。さらに将来二人が結婚したら、私たちは親戚になれちゃう。 そうしたら老後もきっと楽しいだろうな」 「また、先の長い妄想だね……。まぁ、それはそれで確かに楽しそうではあるね」  いつも夢の中にいるようにふわふわで、可憐で可愛い華。  私が華を支えるから、 そう決めた。  未来なんて全く見えないあの日に想像した私たちの将来。  あのままずっと一緒にいられたなら、私たちは今、どんな関係になっていたのだろう。
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