はかりごと

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 華の目の前で、分かりやすくイチャイチャしていたつもりもなかった。 そして、宗太が、私たちの家に泊っていったことはなかった。  幸せな記憶だったはずなのに、今私は、間違い探しをしていた。  私たちのどこが間違いだったんだろう。  そういえば、華と綺羅が、絵画みたいに眠っていた写真は、今どこにあるんだっけ。 たしか、どこかの記憶媒体に入ったまま……。  部屋の隅に置かれた華の写真に向かって心の中で語りかける。 ねぇ、華。 華はあの時、何を思っていたの? 私は、ちゃんと華を支えられていたの? 華にとって私はちゃんと友達だった?  じーっと眺めていても、部屋は静けさに包まれたまま。 誰かが答えを教えてくれたらいいのに……。
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